従業員がこういう資料データが欲しい、作業はこうしたらどうか、などと言い出せば、その情報収集や研究のために、たとえば、時間内で見学・研修させたり、そのための出費を惜しみません。
そうして研究し勉強した答えと努力を高く評価し、いうまでもなくそれらを仕事に反映させて改善、改良させた成果も、ケース・バイ・ケースで報奨のかたちで評価します。
不良、ということにかぎってもそのようにいえます。
あるとき、某現場長が「いまでも懸命に不良が出ないようにやっている。
万が一、不良が出たら、即時、即場、即決の”三即主義”でツブしている。
「あとで、なんてのはダメ。後送りにし、不良のデータを取って、それからどうこうしようなんて、遅いよ」と言っているのを耳にしました。
その意気込みやよし。
しかし、わたしは、それは違うと思いました。
その長は、超ベテランです。
だから、三即主義も可能でしょう。
しかし部下は、長まかせにして、自分はただ日々の作業をこなしているだけで、不良がどうのと、そういうことは関心外になります。
まるでロボットのように動くだけです。
そして長の心の中に、俺がいなければと思う一方、いつまでも部下が育たないイラ立ちが募っていくに違いありません。
長は、部下を育てなければなりません。
部下にヤル気を出させ、育ってもらい、総じて企業の力をつけるのが、長の役目です。
そのいいきっかけ、チャンスとして、不良の発生の機会をとらえるべきです。
これぞ、禍転じて福となす、というわけです。
その気持ちになれば、部下は長の意向を敏感に察知して、そのように行動します。
人間、金と力と、もうひとつ意気に感じて動くというところがあります。
金や力で動くのは、義務的、他動(受身)的です。
企業に勤めるというのはそういうものだ、という労働観もあります。
しかし、現実にわれとわが身を振りかえってみた場合、意気に感じて働くという実感があるはずです。
社長のためなら火の中、水の中と大時代的なのは息切れしますが、よし社長の言うことはわかった、やってやろうじゃないか、と、そういう能動的な姿勢になることは、あります。
そうなったら強いのです。
日本の製品が良質なのは、TQCで全社員が自主的に不良をなくす努力をしているからだといわれていますが、長たるものの腹のくくり方しだいで、全社がそのように動いていくことだって大いにあり得ます。
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